韓国では バスやタクシーの運転手さんのことを
運転技士 (운전기사) と呼ぶ。
相手を尊敬し、 敬います。
今日は27度の ばかようき。
庭のパンジー、ビオラたちが 終わりに向かって 最後の満開を迎えているようだ
韓国に行ったときの事だが 一日タクシーをお願いして 江華島をまわった。
その時の 運転技士さん、 とてもニコニコして愛想がいい。
その上 やたらと知り合いが多い。 信号待ちのたびに、 体を外に乗り出して
道向こうにいる女の人にまで大きな声で話しかけている。
男も ぞろぞろ歩いているのに、 なぜか 知り合いは女ばかり!!
その運転技士さん、車の中でも たいへんおしゃべりで いろんな話をしてくれる。
というか 同じことを何べんも くりかえす。
韓国語聞き取りの勉強には うって付けなわけだが。
で、 そのひとつ。
何事も笑って、暮らすといつまでも若々しくいられる
ぼくが若く見える秘訣は笑って暮らすこと!
と しきりにいう。 反応がなければ 反応するまで言い続ける。
繰り返された以上、 話の流れとしては 当然 助手席の夫が、
「おっしゃるとおり 随分 お若くみえますね、 実際は おいくつになられますか?」
などと 調子を合わせなければならないのに、 ただ ただ まじめに 大学の講義でも聞いているかのようにしている
そうなると 結局 話が つまってしまって 業をにやした運転技士さん、
とうとう 自分から
「ぼくはいくつに見えますか?」 と、
助手席の夫に 水をむける。
知り合いは女だけのせいか、 技士さん、 確かに 色艶もよく 髪も黒々、 若々しい。
ぱっと見 40代 中・後半か?
が、こういった場合、 何歳と思おうとも、 たとえ かなり爺さんであっても
とりあえずは、 10歳以上 でたらめに 若く言っておくのが 正道であり それ以外の選択肢はない。
しかし、尋ねられてしまった夫、 正解すべく 今度は 身を乗り出して一生懸命 運転技士さんを観察している。
そして 頭の中で ああか、こうか、と 思い悩んで、また観察などしている。
その「間」が長すぎること なんとなく みなも 気まずくなってきている。
何も クイズ番組では ないんだし、 賞金が もらえるわけでも ない。
ジャストな正解のために そこまで がんばることは ないんじゃないか
むしろ この場合 あたらないほうが いいんだから。
そうしてやっと 考えに考え抜いて 夫がだした結論は、
「52歳!」
数字が細かすぎる。 やはり クイズモードだ。
ふきだしたのは アジュンマ。
どうだ、 ぴったりだろう? と 自信満々の表情は 夫。
さて、くだんの運転技士さん。
完全に 「あふぁ~」です。
ぼく 若く見えるでしょう、の 意気揚々が、よもやの 撃沈
無残な消チーンです!!
が、 そこはどうでもいい夫、 早く正解が知りたい。
「おいくつですか?」 今頃聞いてどうする
「ぼく 47歳・・・」
技士さん。 たずねた相手が 悪かったとしか言いようがない。
夫は クイズに外れたことに ぶ然とし、
運転技士さん、
しばらく無口で 車内は し~ん。
アジュンマは、 やっと つたない 韓国語で、
「いやいや お若く見えますよ」 と 場をとり繕ってみるも 間が悪いだけ。
早い段階で 口出ししておけばよかったぁ~! は 後の祭り。
ほらほら わらって! わらって! 運転技士さん!
何事も 思ったこと以外は口にできない、真正直な夫。
お世辞が言えないのだ。 これは仕方がない。
間違っても 「ねっ、 ねぇ~ぇ♥ 私って 綺麗?」
なんて 絶対に 聞いちゃあいけません
5分も待たされ じろじろ見られた挙句が、 どん底に落とされるのは あなたですから
ねえ、 運転技士さん。
世の中には “いつまでも大人にならない若さ”
ってのも あるんですよ・・・・